小 春 日 和

十一月から十二月にかけての、のどかでぽかぽかと暖かい天気。
小春日ともいう。

これから冬本番、本格的な寒さがやってくるというのに、まるで春のような暖かい日だ、という意味で使う言葉です。よって、

 「もう春がそこまで来てるのね、今日は暖かくて小春日和ね。」

といった表現は間違い。
「小春」の " 小 " という響きから、春が近い・春がもうそこまでという意味に誤って解釈されてしまうのでしょうが、 " 小 " は「小一時間」などと、「ほとんどそれに近い」意味を表します。
春の三月・四月の気候を形容するなら「春めく・春うらら」などの言葉を使うことになります。

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構  成 「小春」は、陰暦十月の別称。十月の気候が春に似ていることからいう。「日和」は、晴れてよい天気。

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用  例 秋から冬に成る頃の小春日和は、この地方での最も忘れ難い、最も心地の好い時の一つである。
<島崎藤村/千曲川のスケッチ>